燦々と降り注ぐ太陽の陽を浴びながら、私は河原に沿った土手をぶらぶらと歩いて行く。
そこここから聞こえる、喧しいセミの鳴き声を楽しみつつ、ぶらぶらと。
そうやって歩き続けていると、やがて額がじっとりと汗ばんでくる。

「暑い・・・・・わねぇ」

そうやって呟くと同時に、気持ちの良い風がふわりと駆け抜けた。

その感触が、ふと昔の記憶を蘇らせる。
それは、十年前の毎日が夏だった頃の中でも、大切な一日の思い出。


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Eternal Summer〜永遠の夏〜

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「アスカ、暑いんですけど」

「一年中夏なんだから、今日みたいに晴れた日が暑いのは当たり前じゃない」

「なんで、暑いって分かってるのに態々外に出る必要があるの?」

「家にアイスが無いからよ」

「アイスならいっぱいあったじゃないか・・・・・」

「スイカバーが食べかったんだもの。しょうがないじゃないの」

「・・・・・そういえば」

「なによ?」

「そもそも、なんで僕も一緒に買いに行かなきゃならないの?」

「アタシの気分よ」

「ふぅ・・・・・」

「なによ、そのため息は」

「なんでもないよ、もう」

「なんでもなくないじゃない。言いたい事あるならはっきり言いなさいよ」

「じゃあ、さ。百歩譲って、スイカバーが無いから買いに行くのも、僕が連れ出されるのも良いとするよ。
なんで、家の近くのコンビニに行かないの?」

「散歩したくなったから」

「僕は、クーラーで涼みたいんだけど」

「そう」

「“そう”って・・・・・はぁ」

「ま、取り合えず、アンタはアタシと一緒に歩けばいいの」

「分かったよ・・・・・で、何処に行くの?」

「教えない」

「そうですか・・・・・」

「付いてからのお楽しみよ」

「じゃあ、楽しみにしてます」


こいつ、絶対に適当な返事してるわね。
せぇっかくこのアタシが良い所に連れてってあげようとしてんのに。

・・・・・そりゃ、まあ。連れ出し方も悪かったのかもしれないけどさ。
スイカバー買いに行くから付いてきなさい!なーんてアタシが言われたら、絶対に相手の事張った押しちゃうしね。
でも、やっぱりさ、良い場所見つけたから教えてあげるなんてのは、いっつも文句ばっかり言ってるアタシとしては、言い難いじゃないのよ。
だから、出掛ける理由を無理やり作ってシンジを連れ出したんだけど・・・・・付いたらきっとシンジも驚くはずよ。
・・・・・て、アタシは誰に説明してるんだか。

と、もうそろそろ付く頃ね。


「シンジ、もうすぐ付くわよ」

「ほんと?!」

「ほら、そこの突き当たり」

「突き当たり?坂があるだけじゃないか」

「あの坂を上れば分かるわよ」

「ふ〜ん・・・・・何があるんだろ」」

・・・・・キュピーン☆
う〜ん、古いわね・・・・・ま、一人突っ込みは置いといて、と。

「シンジ!」

「な、なに?」

「坂を上るまで競争よ!」

「え?!」

「よーい、どん!」

「え?え??え???」

はてなマークを浮かべるシンジは置いといて、アタシは颯爽と走り出す。

「負けた方が、スイカバー奢りね!」

走りながらアタシが大声でそう言うと、シンジも我に返り走り始める。

「ちょっと!ねえ!待ってよ!待ってってば!ずるいよ、急に!」

アイツの文句なんか一切聞かずに、アタシが圧倒的な差を付けてゴールイン。
少しだけ乱れた息を整えてると、シンジも坂を上ってきた。

「はっ、はっ、はっ、げほっ、げほっ」

「なによ、男のくせにだっらしないわね!」

膝に手を付き下を向いて喘いでいるシンジに、アタシは声を掛ける。

「う、うるさいなぁ!」

「ま、どうでもいいけど、顔上げて見なさいよ」

アタシの声に反応したシンジは、顔を上げる。

「わぁ・・・・・すごい・・・・・奇麗だ」

ふふ、期待通りの反応をしてくれるじゃないの。
連れてきた甲斐が有ったってもんね。

「でしょ?連れてきてあげたアタシに感謝しなさいよ」

「うん、ありがと」

景色に見とれていたシンジが振り向いて、アタシに笑いかける。
振り向いたと同時に、ふわりと風が駆け抜けてシンジの髪を靡かせ、靡いた髪に似合うシンジの微笑みが、夕日にとても映えて見えてしまい、アタシは思わず見とれてしまった。
ちょっと、ほっぺたが熱いかも。


「アスカー」

アタシの名前をを呼ぶ声で、アタシは、ふっと十年前から、今に帰ってきた。

そして、声が聞こえる後ろを振り返ると、シンジが私の方へと走ってくる。

やがて走るシンジは、立ち止まっていた私の隣で止まり、私に話しかけてくる。

そして、どちらからとも無く、私達は、互いの肩を寄せ合い、夕日に染まった河原を見る。
十年前のあの頃と変わらない景色が、そこには今も在る。

「ねぇ、シンジ」

「なに?」

「此処は、いつまでも変わらないね」

「うん。十年前からちっとも変わってない」

「そうよね。流れる澄んだ河も、夕日の赤色も、飛ぶ赤トンボ達も、たまにふわりって感じで吹く風も、な〜んにも変わらないわね」

「永遠の夏・・・・・」

「ぷっ、なによそれぇ」

シンジに合わない台詞に思わず吹いてしまう。

「わ、笑わなくてもいいだろ!なんかさ、昔漫画であったんだよ“永遠の夏”って言葉が」

「永遠の夏、か・・・・・でも、確かにそうかもね」

「うん。たぶん、此処はずっと変わらない夏を過ごすんだろうね」

「でも、私達は変わったわよね」

「そうだね。変わった」

「変わったきっかけ、ここだったわよね」

「そうだよ」

「私は、夕日の中のシンジにときめいて」

「僕は、夕日の中のアスカにときめいた」

しばし、静寂の時が流れる。

「帰ろうか」

「そうね」

私達は手を繋いで、元来た方へと歩き出す。

「また、来年も来ようね」

「当ったり前じゃない!」

「その時は、二人じゃなくて僕達の子供も一緒だね」

「きっと、ね」

ふと、私はお腹に手を当てた。









「あ、動いた!」

「え、本当?!」


END

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あとがき

ふと、夏を書いてみたくなり、書いちゃいましたが、どうでしょうか?
自分的には気に入ってたりします。
ていうか・・・・・なに?!自サイト短編七ヶ月ぶり?!間が開きすぎだー。
もっと、短編も増やしたいと思った今日この頃。

その前に、長編書かなきゃ・・・・・気が付いたら、日は過ぎてる。

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