「プレゼント…何がいいかな?」

そう呟いたのは碇シンジ。現在15歳の中学三年生。
そんなシンジが現在悩んでいるのは、惣流・アスカ・ラングレーその人の誕生日プレゼント。
幼い頃から隣同士の家に住み、同じ幼稚園、小学校、そして中学校と一緒に通い、小さい時には互いの家を行き来していた。
今では、それぞれが同性の友達と一緒にいる時間の方が多いが、それでも朝起こされて一緒に学校に行ったり、テスト前日の追い込み期間には夜遅くまで一緒に勉強したりと、それなりに一緒にいる時間の長い二人。
そんな二人を見て、周りの友人達は何かにつけて、夫婦だ何だとからかうが、小さい頃から一緒にいて、アスカの事を特に恋愛対象として見ていなかったシンジは、からかわれる事に恥ずかしさを感じながら、全力で否定していた。
だが、それがいつからか変わった。
今までは何とも思っていなかったアスカなのだが、何がきっかけなのかは分からないが、アスカが急に恋愛対象へと変わったのは中学三年になってすぐ。
それからはシンジはからかわれる度に内心はヒヤヒヤ物、そして隣で否定するアスカを見ると、落ち込みを隠せない。
だが、これまで幼馴染として付き合ってきたせいで、告白しようかと考えると、アスカが前の自分と同じで、自分を恋愛対象として見ていなかったらどうしようという思いがシンジの頭を過ぎる。
そして、それならば今の幼馴染の関係を保った方が良いと考えるシンジは、告白するのを諦めて、それまで通りの日常を過ごして来た。
だが、それもそろそろ限界。押さえ切れない気持ちが、堰を切って流れ出そうになり、無理に押さえると、シンジの胸が苦しみ、痛み、悲しみ、悲鳴を挙げ続ける。
そこで、ようやくシンジはアスカに告白する決心を付ける。
決行日は12月4日、アスカの誕生日。
そのためのプレゼントを考えるが、どうにも良い物が浮かばない。
そしてとうとう、アスカの誕生日当日になってしまったのだった。

ぬいぐるみ?…うーん、子供っぽい。却下。
指輪?…プロポーズじゃあるまいし。これも却下。
ネックレス?…ダメだ、僕の小遣いじゃ厳しい。却下だな。
…一体僕はどうすればいいんだよ?!もう!

頭の中で必死に考えるシンジだが、どうしても、これだ!と思える物が思い浮かばず、悩み続ける。

……………
このまま悩んでても埒が明かないし、誰かに聞いてみるって言うのも一つの手かな?

そう考えたシンジは、階下にいる父、ゲンドウの元へと向かった。




アスカ誕生日記念SS―ver.2007年度版―

大切なもの

wrtten by 翔矢

「はぁ…父さんに聞いた僕がバカだった」

溜め息とともにそう呟くシンジは、今日はクラスの日直当番になっているせいでアスカが先に学校へ行っているので、一人で通学路を走りながら、今朝の事を思い返す。




「ねぇ、父さん?」

「なんだ、シンジ」

「もし、もしもだよ?もし、さ…父さんが、好きな子の誕生日に告白しようとする場合さ、プレゼントは何にする?」

「遂にシンジもアスカ君に告白する気になったか…ふっ、大きくなったな、シンジ」

「ちょ、ちょっと待ってよ!な、何でそ、そ、そんな結論になるのさ?!」

「シンジの気持ちなんぞ赤子の手を捻るより簡単に分かるからな…そうだっ!ユイにも知らせねば。
ユイー!ちょっと来てくれ」

「ちょ、待ってよ!良いよ、そんな事!」

「恥ずかしがるな、シンジよ」

別に恥ずかしがってるわけじゃなくて、単純に嫌がってるのに。
母さんにバレたら一瞬にしてからかいモード全開に変身するの目に見えてるし。

だが、シンジがそうやって考えてる間にも、ユイはエプロンで手を拭きつつゲンドウに近寄る。

「どうしたの、あなた?」

「ふっ…それがな、なんとシンジが」

ゲンドウがその先を言おうとするが、言われちゃ堪らないシンジは、必死に遮ろうとする。

「べ、べべ、別に何でもないよ母さん!それより朝ご飯ほっといていいの?!」

「…その焦り用、怪しいわね?これは話を聞く必要ありそうね。
あなた、話してくださいな」

「ふっ…それがだな」

「ガタンガタン、ガタンガタン、ピーポーパーポー、ピーポーパーポー、ウーウーウー、ウーウーウー」

どうしても、どうしてもユイに知られたくないシンジは形振り構わずゲンドウに喋らせないようにする。
が、いい加減しつこいシンジに、ユイが一言。

「………シンジ?静かにしなさい」

そう言ったユイの眼差しには、あのゲンドウさえも怖気付かせるほどの眼力が宿っていた。

「…はい」

「ふふ、シンジは良い子ね。
で、あなた。話って?」

「それがだな、ユイ。
遂にシンジがアスカ君に告白すると、先ほど宣言したのだ」

それから数秒。一瞬の静寂が流れた後、ユイの大歓声でその静寂は破られた。

「きゃーっ!本当ですか、あなた?!
ふふふ、やっと、やっとアスカちゃんに告白するのね。
この時を待ち侘びていたわ。シンジ、孫はすぐにでも作っていいからね」

「そ、そ、そ、そんな孫なんて、早いよっ!」

あぁ、母さんがこんな風にはしゃぐのが安易に予想出来るから嫌だったのに…恨むよ、父さん。

結局、シンジはこの朝、学校に遅刻寸前の時間までユイの大歓喜、そしてその後の質問攻めを受けていたのだった。









家から学校までの全力ダッシュのお陰で乱れ切った息を整えながら、シンジは学校の階段を上り、2Aの扉を開けて、中に入る。
すると、先に着ていた友人達から挨拶の声が掛かる。

「おはよう、碇君」

「おはよう、委員長」

「おっはよ、碇君」

「おはよう、綾波」

「おー、シンジ、おはよーさん」

「おはよう、シンジ」

「おはよう、ケンスケ、トウジ」

一通り友人達との挨拶を終えたシンジの後ろから人影が忍び寄り、ふっとシンジの前に顔を突き出す。

「おはよう、シンジ君」

「お、おはようカヲル君。ちょ、ちょっと近すぎない?」

「ふふ、連れないなぁ。いいじゃないか、今日はあの赤毛の邪魔者もいないんだし、ゆっくり、ね」

と、カヲルがシンジに甘い言葉を囁いてる所で、職員室に取りに行ったばかりの日誌を持ったアスカが、その日誌でカヲルの頭を軽く叩く。

「ちぇ、せっかく邪魔者がいないと思ったのにな」

「邪魔者って、失敬ね。シンジを変な道に連れ込まないでくれる?」

「ふふっ、どうだろうね?じゃ、シンジ君、続きはまた今度」

そう言うとカヲルは、教室から出て行った。

「ふんっ、やっと行ったわね。あ、おはよ、シンジ」

「ん、おはよ。
にしても、やっと行った、は可哀相じゃないかな?」

「別にアイツにはあれでいいのよ。
それより、今朝ちゃんと起きれたのね。寝坊して遅刻するかと思ったわ」

「そりゃ、たまには一人でも起きれるよ」

「どーだが。毎朝毎朝アタシが叩き起こすまで熟睡してるくせに」

と、二人が話してると、トウジとケンスケの茶々がいつも通りの具合に入り、ヒカリが仲裁に入り、ミサトが来るまで騒がしく言い合い、ミサトが来て出席を取り始めるとやがて喧騒は収まり、いつも通りのHRが始まった。









授業中、シンジはどうにもこうにも授業に身が入らない。
理由は勿論アスカへの誕生日プレゼント。
どうしてもいい物が思い浮かばず授業そっちのけで考えてしまい、気付いたら既に放課後。
既にシンジ以外の生徒が帰宅した教室で、シンジは未だ決まらないプレゼントを何にするか悩んでいた。

あぁ、どうしよう。
もう学校も終わったって言うのに何も思い浮かばないし…
誰か、こーいうに詳しい人っていないかな?

その時、考え込んでたシンジに忘れ物を取りに教室に戻って来たレイが声を掛ける。

「いーかり君」

声を掛けられたシンジだが、考え事をしてたせいでワンテンポ遅れて返事を返す。

「あ、うん…何?」

「どったの?こんな時間まで?
それに、何か今日ずっとボーっとしてるけど?」

「あ、うん…それがさ」

そして、シンジはレイに、今日アスカに告白しようと考えてる事。
だが、アスカの誕生日プレゼントに良い贈り物が浮かばず悩んでいる事を話した。
すると、レイがシンジに一つの提案をした。

「知ってる?女の子って価値は無くても、男の子の心のこもった物なら何でも嬉しい物だよ。
だから、何か碇君が大切にしてる物とかにメッセージでも添えて贈ってみたら?」

「大切にしてる…物?」

「うん。例えば…そうっ小さいころに河原で拾った石ころとかね」

「い、石ころ?」

「まぁ、例えばの話だけどね。
そういう普通の人にはいらない物でも、気持ちがこもってれば喜ぶかもよって話」

「そっか…そだね。
少し考えすぎたかも、うん。
ありがとね、綾波」

「いえいえ、どーいたしまして。
あ、じゃあ碇君に勇気が出るようにおまじない」

そう言ったレイは、シンジに近付くと、シンジの額に軽く唇を触れさせる。
勿論、急にそんな事をされたシンジは真っ赤に顔を染めてしまう。
と、その時だった。
ガラリ、と音を立てて扉が開き、校門でレイを待っていたが忘れ物にしてはあまりに戻ってくるのが遅かったため、レイの様子を見に来たアスカが、シンジの額にキスをしているレイを目撃してしまう。

「レイー、アンタいつまでアタシとヒカリ待たせ………アンタ達なに、、、やって…?」

「あ、いや…アスカ…これには訳が…」

訳を説明しようとするレイだが、アスカはそれには耳を一切傾けずしばしその場に呆然と立ち竦んだ後、持っていた鞄を床に落とし、目に涙を浮かべながら踵を返して走りさってしまった。

「ア、アスカ!待って!」

シンジが呼び止めようとするが、待てと言われて待つはずも無く、そのシンジの言葉は虚しく宙に響くだけ。
しばしの間シンジもその場に立ち尽くすが、やがてアスカを追ってその足が動き出した。









全速力で走って行くシンジが校門を出ようとした時にヒカリがシンジを見付けて、直前に走って行ったアスカの事を聞こうと思い呼び止めるが、シンジは気付きすらせず校門を駆け抜け、自宅の方向へと向かってひた走る。

そして、しばらく走って幾つめかの角を曲がった所でようやくアスカの後ろ姿を視認し、これまで走ってきたせいで動きの鈍くなってた足がまたしっかりと動き出し一段とスピードを上げる。
だが、追われているアスカもシンジがすぐ近くにせまった所為で同じくスピードを上げた。
しかし、アスカよりもシンジの方が僅かに早く、アスカが家に駆け込もうとした寸前でようやくアスカに追い付きその肩をしっかりと掴む。

「はっはっはっ…や、やっと掴まえた」

「はっはっはっ…は、離し、なさい、よ!」

「はぁ、はぁ…や、やだ!離さない!話…聞いてよ」

「はぁ、はぁ…な、なんの話よ!別にアタシはアンタとレイの恋愛話なんて聞きたくも無いわよ!」

そう言ってアスカは、油断していたシンジの隙を突いて肩に掛かる手を振り払うと家の中に駆け込み、鍵を掛けてしまう。
だが、これで諦めるわけには行かないシンジは、力強くドアを叩き続ける。
そしてドアを叩き続けて数十分程経つと、とうとうその音に我慢し切れなくなったアスカがドアを思い切り開ける。

「うっさいわよ!いい加減にして!」

それだけ言ってまたドアを閉じようとするアスカだが、ようやく開いたそのドアを閉めさせたらまずいシンジは、咄嗟に口を開いた。

「アスカ!好きだ!僕は、アスカの事が好きだ!だから、だから、付き合って下さい!」

唐突にされた告白にアスカは動きを止めてその場で立ち尽くす。
そんなアスカの腕をシンジは掴むと、素早く引き寄せ自分の胸の中に抱きしめた。
その行為で我に帰ったアスカは猛然と反抗する。

「ちょっと!何すんのよ!離しなさいよ!」

「嫌だ…離さない!」

「離しなさい!」

「離さない!」

「離せ!」

「やだ!」

そうしてしばらく続いたアスカとシンジの攻防だったが、ふいにアスカの身体から力が抜けると、今度は堰を切ったように泣き始めた。
急に泣かれたシンジは、どうして良いか分からずに、ただただうろたえる。

「あ、あの、ア、アスカ?」

「な、なによ、バ、バカッ!
アタシは、、、アタシはずっと前からアンタの事好きだったのに、、、アンナ場面見せ付けたと思ったらいきなり好きって言って抱きしめたりっ、、、もう、、、訳分かんないわよ」

「あ、、、え?」

急にアスカから告白を受けたシンジは、真っ赤に顔を染めるが、少し間を置くと抱き締めてたアスカを離して訳を話し始めた。









「だから、その…そういう事で別に綾波とは何にもなくて。
それで、えと…僕の好きなのはアスカで…だから、返事、くれないかな?」

シンジは事の顛末を全て話し終えた。
そして、その後しばらくどちらも口を開かず、静寂が漂う。

と、しばらくして、アスカが口を開く。

「返事なんか…決まってるじゃない」

「え…?」

「"え?"じゃないわよ。
アタシはね、アンタの事をアンタよりもずっとずっと前から好きだったんだから!この鈍感ニブチン馬鹿シンジ!」

アスカはそう言い放つと、今度はアスカの方からシンジに抱き付き、胸に顔を埋めて再び泣き始めた。
そしてシンジは、またまたうろたえる。

「え、、、と…アス、カ?」

「みっともなくうろたえてんじゃないわよ!
これは嬉し涙よ!う・れ・し・な・み・だ!」

「そ、そっか…うん、、、ありがと」

"ありがと"シンジはそう呟くとアスカをギュッと力強く抱き締め返した。

アスカはひとしきり泣いた後にシンジから身体を離す。

「で…?」

「"で?"って?」

「はぁ…アンタバカァ?!プレゼントはって聞いてるの!」

「…あ」

アスカに言われてシンジは初めてプレゼントの事を思い出す。

「"あ…"ってもしかして忘れてた?」

「い、いや、そんな事無いよ」

「じゃ、なによ?」

そう聞かれたシンジは必死で脳内をフル回転させ、一つの答えに辿り着いた。
そして、その辿り着いた答えを実行していいものかとしばし思案するが、他に何も無い以上実行するしかなく、決心を付けると、アスカを引き寄せてその唇に淡い、とても淡い、しかし、それでも精一杯の気持ちをこめたキスをした。

「ん、、、ちょ、ちょっと!きゅ、急に何、、、すんのよ!」

「あ、と…僕の、、、気持ち、、、精一杯こめてみた、、、んだけど」

「ば、ばか!」

そう言ったアスカは顔を真っ赤に染めると、再び家に駆け込んでしまった。
そして、取り残されたシンジがどうしたものかとその場に立ち尽くしていると、二階にあるアスカの部屋の窓が開き、アスカがまだ少し頬の染まった顔を出す。

「バカシンジ!気持ちだけは伝わったわよ!それじゃあまた明日ね!」

アスカは照れているのか、それだけ言うとすぐに窓を閉じて部屋に閉じこもってしまった。




あとがきorz

いや、、、あの、、、ごめんなさい。
自分ですら納得してないこんなもんを果たして掲載していいのか凄い悩みましたが、、、
書き直す時間があああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
てことで、掲載しますorz
ふぅ、ここまで読んだ珍しいそこのあなた!
苦情や批判はこちらまで。
Mail:raizou333*yahoo.co.jp←*を@に変えてください
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