昨日の敵は今日の友さんからの、8000HIT記念リクエスト作品。
お題は、
「喧嘩をした後、お互いの大切さを実感し、仲直りする」です





シンジがトウジの事を傷つけてしまった後の出来事・・・・・・




幸せを求めて by 翔矢





まただ、またシンジを追い込んじゃった。
アタシはシンジを励まそうと思っただけなのに。
また酷い事を言っちゃった。
もう、引き際かな、アタシはシンジの事が好きなのにそれを素直に伝えられない。
それに・・・きっとシンジはファーストの事が好きなんだ。




まただ、またアスカの好意を無駄にしてしまった。
せっかくアスカは僕のことを励まそうとしてくれたのに。
アスカがああいう表し方しか出来ないのを僕は十分知っているはずなのに。
もう、引き際かな、僕はアスカの事が好きなのにそれを伝えようとすると逃げ出しちゃうんだ。
それに・・・きっとアスカにはもっとお似合いの人がいるんだ。

シンジとアスカは自分の部屋で深刻な顔をして塞ぎこんでいた。
理由は先程のやり取りから起きたすれ違い。

「もう、いいかげんに元気出しなさいよ」

ダミープラグのせいとはいえトウジを傷つけてしまったシンジはボーっと何をするわけでもなく部屋の隅に座っていた。

「鈴原を傷つけたのはアンタのせいじゃないんでしょ」

「でも、僕がちゃんと戦っていればダミーなんて使わないで自分で制御してればプラグを握りつぶさなかった」

「でも、鈴原は無事だったんだからいいじゃない」

「でも、トウジの事を傷つけたんだ、親友なのに」

あくまでも後ろ向きなシンジに遂にアスカがキレる。

「もう!うじうじうっさいわよ!親友ならアフターケアをしっかりしなさいよ!」

「そんなの出来るわけないじゃないか!僕がトウジの事を傷つけたんだよ!なのに親しげにトウジに会いにいける訳無いだろ!」

「はん!あくまでも後ろ向きなのね!じゃあ勝手にしなさい!」

「ああ!勝手にするよ!」

「「バタン!!」」

乱暴にドアを閉めて二人ともお互いの部屋に閉じこもってしまう。




アタシは・・・・・どうすれば・・・・・いいのよぉ。




僕は・・・・・どうすれば・・・・・いいんだろう。
















シンジとアスカが喧嘩してから一夜明けてシンジは初号機に乗っていた。

「初号機の連動回路カットされました」

「射出信号は」

「プラグ側からロックされています、受信しません」

「シンジ君、ああしなければ君がやられていたんだぞ!」

「そんなの関係ないよ」

「だが、それも事実だ」

「そんな事言ってこれ以上僕を怒らせないでよ、初号機に残された185秒、これだけあれば本部の半分は壊せるよ」

「今の彼ならやりかねませんね」

「シンジ君!話を聞いて!碇司令の判断が無ければみんな死んでいたかもしれないのよ!」

「そんなの関係ないって言ってるでしょ!!父さんは、あいつはトウジを殺そうとしたんだ!!この・・・・・僕の手で」

『僕の手で』それを言ったシンジの心の昂ぶりが急速に冷めていく。

(僕の手で、そうなんだ・・・・・・・僕があそこで戦っていれば・・・・・・・・・僕は・・・何をしてんだろ・・・・・・・自分が悪いんじゃないか・・・・・・もう、やめよう)

「初号機、活動を停止しました!」

「迷惑をお掛けしてすいません、もう、やめます」

「?????」

急に気を改めたシンジに発令所の面々は何が何だか分からないと言った顔をしている。

そんな発令所の人々を後ろにシンジは発令所に背を向けて歩き始めた・・・・・・・ゲンドウのいる司令室に。










コンコン

「誰だ」

「父さん、僕です」

「シンジか、入れ」

「失礼します」

カシャ

「シンジ、お前がした事を分かっているな」

「はい」

「命令違反、エヴァの私的占有、これらは全て犯罪行為だ、何か言いたい事はあるか」

「はい、僕はもうエヴァのパイロットを辞めます、これ以上みんなの戦いを邪魔したくは無いです」

「では、出て行け」

「はい、ただお願いがあります」

「なんだ、言ってみろ」

「アスカ、アスカを大切にしてあげてください」

シンジの意外な一言にゲンドウは驚く。
無論、そのような素振りは一切見せないが。

「なぜお前が弐号機パイロットの事を気にかける」

「僕は、アスカを・・・・・・愛してます」

シンジから出た言葉は「好き」ではなく「愛してる」だった、これを聞いたゲンドウはまたさっきよりも驚く。
まあ、それでもそれが分かるのは、冬月かリツコ、それに今は亡きユイとナオコくらいだろうが。

「では、なぜ弐号機パイロットからお前は離れる」

「アスカの幸せには僕は邪魔なんです。
僕ではアスカを守れないし、彼女に相応しくも無い」

「それで、お前は辞めるのか」

「はい、けどアスカの事は心配です、だから必ずアスカを大切にして下さい」

「では、お前は逃げるのだな」

「え?」

シンジはゲンドウの口から肯定でも否定でも無い言葉が出てきた事に驚く。

「お前は逃げるのかと聞いている」

「違うよ!逃げるんじゃない!」

「では、何だ」

「アスカの幸せにはこれが一番いいんだよ!」

「お前は「アスカの幸せ」この言葉に逃げているのだ」

「え?・・・・・・・・」

「シンジ、よく聞け」

「・・・・・」

「相応しさなんて関係ない、そんな事を言ったら私とユイも相応しくはなかった」

「・・・・・」

「しかし、互いに愛し合えば「相応しさ」なんてどうでもいいのだ」

「父さん・・・・・」

「そして愛する人を失ってから後悔しても遅い」

「・・・・・」

「最後に愛すべき人を守れるのは、その人を愛する人。
つまり弐号機パイロットを最後に守れるのはシンジ、お前だけなのだ」

「・・・・・・・僕は・・・・やっぱりここに残るよ」

「そうか」

「父さん」

「何だ」

「ありがとう」

「ああ・・・・・・そこで少し待ってろ」

そう言ったゲンドウは内線用の電話をかける。

プルルルルルルルルル、ガチャッ

「何だ、碇」

「冬月・・・・・・」

シンジに「冬月」までしか聞こえ無かったために、話の内容が分からない。

「では、早く来い」

ガチャッ

ゲンドウは電話を切るには少し変なセリフで受話器を置いた。

「父さん、なんなの?」

「待っていろ、そうすれば分かる」

そして十数分が過ぎたころ。

カシャッ

部屋に冬月が入ってきた。

「碇、急に呼び出して何のようだ」

「『人類補完計画』は今日で廃止します」

何の説明も無く単刀直入にゲンドウは切り出した。

「おい!急に何なんだ!」

話に付いていけないシンジは会話に割り込む。

「あの」

「シンジ君、いたのか」

冬月は部屋に入って来てから初めてシンジに気が付いた。

「あの、『人類補完計画』ってなんですか?」

「それは・・・・・・」

冬月は少々口ごもる。

「構わん、話してもいい、計画は今日で無くなるのだからな」

そして『人類補完計画』の全貌を聞いたシンジは驚愕した。

「そんな事が裏では行われていたのか・・・・・・」

「そうだ、だが今日でそれは廃止する」

「碇、何故そんな急に?」

「簡単です、私の息子と地球の未来を見たくなった、それだけです」

「ふぅ、まあよかろう、だがゼーレの連中が黙っておらんぞ」

「大丈夫です、時が来るまではゼーレのやつらは我々に手出しできません」

「では、時が来たら?」

「シンジと弐号機パイ・・・いや、アスカ君で守ってくれますよ」

「何故、アスカ君が?」

「それはシンジの恋人だからです」

いきなり恋人発言をされたシンジは焦る。

「ちょ、何で恋人なんだよ!」

「馬鹿め、アスカ君もお前の事が好きだ、見てて分からんのか」

「ほう、シンジ君がようやくアスカ君とくっ付くのか」

「冬月さんまで!」

「まあ、時間の問題だったからな。
しかし、昔ならきっと我々で引き裂くがな」

「え?」

「『人類補完計画』を実行するには幸せな感情はいらないのだよ」

「そう、なんですか・・・」

「まあ、今からは幸せを味合わせるための組織に変更だがな」

「ありがとうございます」

ウーウーウーウー

けたたましいサイレンが鳴り響いた。

「ほら、シンジ君使徒だよ」

「ああ、もうアスカ君は出撃してるだろう、手遅れにならない内に急げ」

「分かったよ、父さんじゃあ行って来るよ!」

シンジは発令所へと駆け出して行った。

「ユイ、私がした事は正しいのか・・・・」

「ふ、碇もまったく不器用なやつだ」

END・・・・・・・嘘、後編を作ります


あとがき

すいません、8000番のリクエストがすっかり遅くなってしまいました。
しかもまだ完結せず。
なので後編はたぶん明日か明後日に公開しますのでもうしばらくお待ちください。

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