「シンジ君、頼みがあるの」
「なんですか?」
この日、リツコはミサトに食事を誘われ、葛城家に来ていた。そして、食事も半ばで、リツコはふと思い出したようにカバンから何かを取り出す。
「綾波レイの更新カード。渡しそびれたままになっててね。悪いんだけど、本部に行く前に届けてもらえるかしら?」
「はい、分かりました」
そして、シンジは受け取ったカードの写真を見つめながら、今度はどうレイに接していこうかと考えていた。
みなが幸せになるために
第四話 『レイとの出会い』 by翔矢
カードを受け取った翌日、シンジはレイの家の前に立ち、インターフォンを押す。
が、やはり前と同様に、それは壊れて役に立たず、扉を叩いても返事は返ってこないため、今度もシンジは無断でレイの家に入る。
そして家に入ったシンジは、玄関からレイの名前を呼ぶも、返事は無く、仕方なしに部屋の奥へと進み、部屋全体を見回すと、やはり殺風景な部屋で、家具や置物の類は必要最低限にしか用意されていない。
そして、さらに周りを見たシンジは、机の上に置いてある壊れたメガネを見つけると、それに近づき、手に持って眺める。
なんだろう?見覚えがある………そうだ、これは確か父さんがしてたのと同じメガネだ。でも、なんで綾波はこんな壊れたメガネなんか持ってるんだろ?
しかし、シンジの考えはここで途切れる。なぜならば、シャワールームから出てきたレイがバスタオルを一枚、首から掛けただけで出てきたから。
この、あまりに唐突な状況変化にシンジはうろたえるが、レイは一歩ずつシンジに歩み寄る。そして、シンジはさらにうろたえ、パニックに陥り、意味不明の言葉を吐き出すが、そんなシンジには目もくれず、一直線にシンジの元へレイは向かうと、シンジの目の前でピタリ…と立ち止まり、シンジが手に持ったメガネを奪うようにして取り返した。
そして、余りにも急な展開にシンジは何の対応も出来ず、奪い取られた反動でバランスを大きく崩すと、レイを押し倒す形で、床に倒れこんだ。
なんとか、更新されたカードを渡す、という元々の用事を終えたシンジは、レイと一緒に本部内の長いエスカレーターに一段違いで乗っていた。
しばらくは、黙ってエスカレーターに乗っていたが、やがてシンジが口を開く。
「あの…さっきは、ごめん」
しかし、レイから帰ってきた返事は「なにが」と、いうそっけのない言葉。
シンジは、それに対し「押し倒したこと」と答えるが、それ以上には、返事は無く、再び沈黙の時が訪れる。
………………
………………
………………
………………
そして、この沈黙をシンジは再び破る。
「あのさ、今日はこれから再起動の実験だよね?」
レイに問いかけるシンジだが、レイはまるで自分に聞かれてるのではないかのように返事を返さない。
だが、シンジはそれでもしゃべり続ける。
「こ、今度は、上手くいくといいね」
………………
………………
………………
………………
再び流れた沈黙。シンジはそれをもまた破る。
「あの、さ…綾波は、また零号機に乗るの、怖くないの?」
そして、これにはレイは返事を返す。
「どうして?」
「前の実験で大怪我したって聞いて。それで、平気なのかな、って」
「あなた、碇司令の子供でしょ。信じられないの?お父さんの仕事が」
「…正直、良く分からないよ。父さんの事は。あまり、父さんとは話さないし、父さんから話してくれたりもしないし」
「そう…そうやってあなたは自分から挑戦して、傷付くことを恐れているのね」
「別にそんなんじゃないよ。話せる時間があれば話してみるよ。たぶん、だけどね」
「…時間、もう、行くわ」
話はまだ中途半端ではあるが、レイはエスカレーターを小刻みに走り降りていく。
そして、エスカレーターにはシンジ一人が残されていた。
そう、今度こそは、何事にも自分から挑戦するんだ。そして、必ず前とは違う道を僕は辿る。
シンジは、決意を再びかみ締め、心の中で苦笑した。
でも、まずは綾波との関係をどうにかしないとな。これじゃ、前とあまり変わりないし。取りあえず、友達にはならないと、な。
……………あの綾波と友達になんてなれるのかな?…て、いやいや前の時も結構時間経ったらある程度話せていたし、今度はその経験を生かせば案外簡単に心開いてくれるかもしれないよな、うん。
などと、シンジが勝手に色々考え、そして自己完結していたら、エスカレーターはいつの間にやら下に到着し、シンジが前のめりに転んだのは、おまけの話。
「レイ、聞こえるか?」
「はい」
「これより、零号機の再起動実験を行う。第一次接続、開始」
ゲンドウの言葉により始まった再起動実験は、順調に進み、一つ、また一つと壁を突破していき、遂に前回失敗の絶対境界線の突破を成し遂げた。
しかし、ここで問題が起きる。未確認飛行物体、すなわち使徒の接近を報せる。
それを受けたゲンドウは、すぐさま次の命令を与える。
「テスト中断、総員第一種警戒態勢」
「零号機は戦闘には使わんのか?」
「まだ戦闘には耐えん。初号機は?」
冬月の問いに簡潔に答えると、リツコに問うゲンドウ。
「380秒で準備できます」
「出撃だ」
「はい」
命令を与え終えたゲンドウは、レイに話しかける。
「再起動は成功した。戻れ」
その言葉を聞いたレイは、緊張を解き、軽く息を吐き出した。
そして、ふと先ほどの、自分の言葉を思い出し、考える。
自分から挑戦して、傷付くことを恐れているのね
私も…自分から何もしていないのは、彼と同じなのかもしれない…
使徒襲来を受け、出撃の命を受けたシンジと初号機は、着々と準備を整え、やがて、発進可能状態になる。
それを待っていたかのように、ミサトは命令を与える。
「エヴァ初号機、発進!」
しかし、初号機が発進されたのを感知した使徒は、迎え撃つために、エネルギーを自分の体内中心へと集める。
「目標内部に高エネルギー反応!」
「なんですって?!」
「まさか!」
そして、指令所の予測通り、使徒は出撃された初号機に向けて、加粒子砲を放つ。
しかし、前回も同じ手を経験しているシンジは、今回は咄嗟にA・Tフィールドを展開し、僅かだが、時間を作る。その隙に、何とか無傷のまま初号機はネルフ本部へと戻った。
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つづく
あとがき
予定通りの日にupできましたぁ(*^_^*)
さあこれで後は小説が面白くなれば完璧なんですけどね。
(でも、普通は小説を面白くしてから、upの予定を作るのか?)
・・・・・ま、まあそんな事気にせずに次話は11.09日に乗せるんでその時はまた読んでくださいね。
あ、後それからこのサイトは現在投稿大募集なので初めての書く人でも、超大物さんでもどしどし投稿してくださいね。それでは!