ふれあい


                 ソレックス


辛かった戦いが終わって、あたし達は中学3年生になった。愛憎の関係から理解しあい、
自分達の気持ちに気付き、それを認めた。
それからは、あたし達の関係は急速に縮まった。今や恋人同士の関係だ。
あの頃も、きっとそうだったのだろう。ついシンジを眼で追ってしまうのも、何かと
チョッカイ掛けたり、ワガママ言ってしまうのも、シンジにただただ、構って欲しいだけ。
今も、リビングに転がっているあたしの前をウロウロと歩き回っている。
そしてそれをじぃーっと眼で追うあたし。

「あーあ、ちぃーっともあたしの事構ってくれないのね…。」

家事に勤しむシンジに、そんなヒマなど無いのを分かっていて、つい愚痴を言ってしまう。
子供のワガママみたいだと分かっているし、シンジだからワガママ言って甘えてみたいと
思う自分が可愛いと思ったりして、一人赤くなってしまう。

「…?どうしたの、アスカ?顔、赤いよ?」
「え?!な、何でも無いわよ…。」
「そう…?なら良いけど…。」

何気にあたしの事気にしてくれていたのね…。う、嬉しいよう〜!
と、思ってまた顔を赤くしてしまう…。

「はい…。」
「え!?」

ココアの入ったマグカップをあたしに差し出すシンジ。もう家事の方は良いの?

「ゴメンネ。ちっとも構ってあげられなくて。」
「え?あ、ああ、い、良いのよ…。忙しいのは分かっているから…。」

自分の心を見透かされた気がして、いそいそとココアを口にする。

「でもね…、僕もホントはアスカと同じなんだ。」
「え?!何が?」

何の事?不意を付かれて、話が飲み込めないあたし。

「ホントは僕もこうやって、アスカと一緒に居る時間が欲しいんだ…。もっとアスカと
おしゃべりして、遊んで、もっとアスカの事を知りたいんだ。」

単純に嬉しかった。シンジがこんな事を言ってくれるとは、思いもしなかったから。

「でも、アスカの為にも、自分自身の為にも、勉強しなきゃいけないし、こうやって
家事もしないと、人並みの生活レベルを保てないし…。」

アスカの為に…、嬉しい事言ってくれるわね…。最後がちょっと引っかかるけど…。

「だから、どうしてもアスカと一緒に居る時間が減っちゃうんだよね…。」

そうよね…。実際シンジは良くやってくれている。ホントに感謝しているわ。

「だ、だから…、その…。」
「何よ、いきなりドモっちゃって…?」
「う、うん…、その…、す、少しで良いから…、か、家事を手伝ってくれると…。」
「家事を手伝うの…?」
「う、うん。あ、あの…、そうすれば早く終わるし、アスカとの時間も少しは多く
取れるんじゃないかと…。」

…そうよね…、何もかもシンジに押し付けちゃって、あたし一人ヒマだーって…。
別に家事が出来ないとか、嫌だって言うんじゃない。ただ、色々シンジがやってくれるのが嬉しくって、つい甘えてるだけ。
そうよね!二人でやれば、単純に半分の時間で済むんだし、それだけあたし達の時間が増えるって事じゃない!今まで甘えていたのがバカみたいじゃない!
それにシンジの負担が減らせるんだし、シンジの役にも立てるって事が嬉しい。

「分かったわ!あたしもやるわ!何時までも、シンジばかりにやらせている訳にいかないし!」

そうよ!将来の為にもここはキチンとやらないと!
ポポッとまた、あたしの顔が赤くなる。不思議そうにあたしの顔を覗き込むシンジ。

「さあ、サッサとやるわよ!」

照れくさいので、サッサと立ち上がる。そしてそれぞれが自分の分担をこなしていく。
時々シンジの方を見ると、今までシンジがやっていた事を自分がやっている事が嬉しくなってくる。
シンジの助けになっているよね?シンジの役に立っているよね?
小さな子供が、初めて母親の手伝いをしている心境に似ているのかな?なんて思ったりして、恥ずかしくも嬉しい自分が可愛く思えたり。
シンジも、偶にこっちを見たりして、眼が逢うとニッコリと笑ってくれたり。
あんた、良い父親になるわよ…。未来のビジョンにシンジが重なる。
そんなこんなで、何時もなら昼過ぎまで掛かっているのに、午前中で終わってしまった。
こんな事なら、もっと早く気付けばよかったのにね。

「ありがとう、アスカ。おかげで、早く終わったよ。」
「良いのよ、これくらい。今まで、アンタに全部押し付けて悪かったわ。」
「いや、良いんだよ。アスカや、ミサトさんの為にやっているのが嬉しかったんだから。」
「うん…、ありがと…」
「それでさ…、よかったらご飯食べたら映画でも見に行かない…?」
「え…?ホント?!」
「うん、お礼だよ。」
「うん!でも、お礼なんて言い方しないでよ。手伝ったのは、アンタと同じ理由なんだから…。」
「うん、分かったよ。」
「これからは、ずーっと手伝うからね!お昼ご飯、手伝うからサッサと食べて、映画に行きましょ!」

ウフフ、これでまた一つシンジとの間が縮まったわ!こうやって一つ一つ理解し、分かり合って絆を深めていくのね。いーっぱいシンジに恩を売って…はぁ…ダメね。もとい、いーっぱいシンジに愛情を注いで、あたしから離れられなくしてやるの!
こうやって小さなふれあいをかき集めて…。




終わり






あとがき

たわいの無いネタですみません…。また、犬の散歩中に構想、描きながら考えたという
ダメな奴です…。





コメント

こうやって、戦いの最中に出来なかった些細な事でも、ちょっとづつ積み重ねて欲しいですね。

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