今度は君のとなりで

第18話「せめて、人間らしく」

2日後に出る、第15使徒・・・
アスカを1番傷つけた使徒。
誰も精神汚染を受けずに倒せる方法はなんだろう。
「シンちゃん、どした?」
考え事をしていたら、ミサトさんに話しかけられた。
「あ、いえ。」
「どーせくだらないこと考えてたんでしょ。」
・・・・なんか、アスカのために考えていたことがばかばかしくなってきた。
「まあ、なんでもないならいいけど。2人とも、今日のシンクロテストの数値、すごかったわ。また上がってたわよ。」
前は、この時期にはもうアスカは完全に数値が落ちきっていて、リツコさんも弐号機パイロットの変更を考えていた。
今はそんなことはない。
そのとき
プルルルル・・・
電話が鳴った。

あたしの横に立っていたシンジが受話器をとった。
「もしもし・・・あ、はぁ・・・。」
反応の薄さからして、相手はセールスかと思った。
でも、シンジはあたしに受話器を差し出した。
「ドイツから国際電話。お母さんから。」
「あたしに、ママから?」
あたしは受け取って、耳を当てた。
『アスカ、久しぶりね。』
ドイツ語が懐かしく聞こえた。
「ママ、元気にしてた?」
あたしもドイツ語で返す。
『ええ。電話に出た彼は?』
「ああ、彼を紹介しようか?」
『もしかして、フィアンセかしら。』
「ママっ、そ、そんなんじゃないわよ!!」
いきなりの質問に、おどろいた。
『そう?なんていう名前なの?』
「シンジって言うのよ。」
ドイツ語でも、「シンジ」は「シンジ」。自分の名前が聞こえて、シンジが反応の表情をみせた。
『へぇ、シンジ?彼と話したいなぁ。』
前のあたしだったら、抵抗があったかもしれない。
けれど、今は違う。
どんなお母さんでも、ママはママ。
「シンジ、こっちに来て。ママがシンジと話したいって。」
「え、うん。」
あたしはボタンを押して、スピーカーフォンに切り替える。
「あたしが通訳するからね。日本語で答えてOKよ。」
ママにも、同じ内容を伝えた。
『こんにちは。』
「こ、こんにちは。」
『あなたがシンジくんね。よろしく。』
「よろしくお願いします。」
『アスカとはどう?迷惑してないかしら。』
「楽しいですよ。」
『これからもよろしくね。アスカとも仲良くしてくれるかしら。あなたとアスカ、相性がいいみたい。』
なんだか恥ずかしくて、あたしには最後の一文はシンジに伝えなかった。
すると、ドイツ語の通じるミサトが、
「あれ、アスカ、訳してないところあるわよねぇ。」
と、ツッコミを入れてきた。
「そんなとこ、ないわよ!」
「あれれ、お母さん、シンちゃんとアスカの相性がいいって言ってたんじゃない?」
あたしは何も答えなかった。
「えーっと、こちらこそ、よろしくお願いします。」
シンジはそれだけ答えて、ママとの電話を切った。
なにさ、そういうところ気が利かないんだよね。シンジは。

とうとう使徒が現れた。
あたし達3人は出撃。
「ミサト、あたし、おとりに出てもいい?」
射出前、ミサトにこういった。
『おとり?』
「そう。何してくるかわかんないでしょ?シンジとレイが攻撃。あたしはおとり。いいでしょ?」
ミサトは困った様子。
納得して!
シンジやレイに精神汚染の苦痛は与えたくない。
『分かったわ。でも、気をつけなさいよ。何かあったらすぐ言って。』
「分かってるって。」
そのとき、あたしからシンジ、レイへと順番に射出されていく。
一気に攻撃を受けないように、みんな離れている。
あたしは弾の入っていないライフルを構えた。
これも、敵に攻撃を仕掛けるかのように見せる作戦。弾を抜いたのは、動かしやすいように、軽くするためだ。
ここからは敵なんて全く見えない。
さーて・・・
今度は負けてらんないわよ。

『目標は、ここからの距離を保っています。』
『何をするつもりなのかしら。』
そのとき。
光が見えた。
『何!?』
『不明です!A.T.フィールドに限りなく近いですか、詳細は不明です。』
『アスカの精神グラフが乱れています!精神汚染が始まります!!』
「く・・・っ」
痛い。心が。
敵に見られている。
何を考えているのか。何を思っているのか。
『アスカ!』
『惣流さん!』
あたしは頭を押さえる。
ダメ!
やられちゃいけない。
『アスカ、下がって!!』
「大丈夫よ!!」
あたしはA.T.フィールドを最大に展開し、少しダメージを軽くする。
「シンジ、レイ!早く撃ってよー!!!」
『ポジトロンライフルの準備、両機完了しました!』
『撃って!』
降っている雨でよく見えないけど、2つの光線は見える。
『ダメです。この射程距離ではA.T.フィールドは破れません!』
フッ
私に当てられていた光が消えた。
「・・・え?」
あたしへの精神汚染が止まる。
『うわぁぁぁぁ!』
「シンジ!?」
光が別の方向に向かっている。
そう・・・初号機に。
「シンジ!」
『初号機への精神汚染が始まりました!』
シンジ、シンジ!
あたしは思いっきり走った。初号機のもとへ。
ガシャン!
体当たりして、初号機を光の外へふっ飛ばした。
『『アスカ!?』』
ミサトとシンジの声が聞こえるけど、無視。
また、あたしに汚染がかかる。
〔私と一緒に死んでちょうだい!〕
ママの声。
やめて!
『アスカ、アスカ!』
シンジが叫ぶ。
「シンジこないで!」
これ以上は無いくらいの厳しい声であたしが叫んだ。
シンジがひるむ。
『レイ。』
司令の声が聞こえた。
『はい。』
『ドグマを降りて槍を使え。』
『はい。』
零号機がいなくなる。
『アスカ。』
今度はあたしに司令が話しかけてきた。
「はい・・・。」
あたしはかすれる声で返事をした。
『もう少し耐えてくれ。』
「はい・・・っ。」
落ち着け、あたし。
こんなのに負けてらんない。
あたしは、シンジやミサト、司令、そしてレイ・・・みんなを、信じている。
もう恐くない。人と触れ合うことは。
もう負けない。こんなやつらに。
『弐号機の心理グラフが、だんだんと落ち着いていきます。』
『アスカ・・!』
『零号機、地上に出ます。』
ガゴン
『アスカ、がんばって!』
シンジの声が、何よりの救いだった。
「負けてらんない!あんた達に!もう恥はかかない!みんなの前で!」
誰よりも、シンジの前で!!
『投擲カウント開始します。10,9,8,7,6,5,4,3,2,1・・・。』
バシュン!
雲が大きく開く。
しばらくして・・・
『使徒、消滅しました!』
『槍は?』
『現在月軌道に向かっています。回収は、おそらく不可能です。』
『弐号機、開放されます。』
あたしはへたりこむ。
「・・・・。」
初号機が走ってくる。
『アスカぁ!』
「シンジ・・・。」
モニターに映るシンジ。
『惣流さん、大丈夫?』
レイも映し出された。
「レイ・・。」
『平気?』
初号機が手を伸ばしてきた。
あたし(弐号機)はその手を握って立ち上がった。
「ありがと!」

「アスカは平気か。」
対戦後の司令室。
「はい。」
「次の使徒・・・レイが爆発するんだな。」
アスカだって、さすがに疲れている。なるべく僕が答えるようにする。
「それは避けたいわね。市も壊滅は御免だからね。」
リツコさんが提案した。
「ダミーで出撃はどうかしら。」
「ダミーで?」
僕が聞き返した。
「もちろん、しょっぱなからそれはいけないけどね。一回出撃して、武器が侵蝕されるところをミサトらにみせて、撤退。その後、ダミーを搭載して再出撃よ。」
僕は手を挙げる。
「どうしてダミーを使うんですか?」
やっぱり、トウジの一件もあって、ダミーには抵抗を感じる。
「ヒトの心があるから、漬け込まれて侵蝕されるの。それなら、最初から心のないもので戦った方が有効なのよ。」

家に帰り、シンジと2人でご飯を済ませた。
ミサトは今日の戦いの片づけだ。
「アスカ、本当に大丈夫?」
シンジが聞いてくる。
「全然!なんとも無かったわ。」
「本当?」
「ええ。シンジこそ、平気だった?ちょっとでも、あの光には当たったでしょ。」
「当たったよ。でも大丈夫。アスカがいたもん。」
さらっと言われて、私は思わず顔を赤くした。
「どうしたの?」
シンジは、そんなに深く考えずに言ったようだった。
それじゃあ、あたしが1人で盛り上がっちゃってバカみたいじゃない!
すると、シンジが急に抱きついてきた。
「シンジ!?」
さっきよりも顔が赤くなる。
こんなこと初めてだ。
「ごめん・・・なんか、アスカがどっかいっちゃいそうな気がして。」
「どこにも行かないわよ。」
あたしはシンジに抱きついてガマンしていた涙を流した。
大きな声を出して。
今初めて、過去の呪縛から解放された気がした。
「僕、前は自分がいつ死んでも・・・どうなってもいいって思ってた。」
あたしとシンジの涙がやっと収まった頃、シンジが言った。
「だけど、サードインパクトがおきて、赤い海を見たとき、僕は自分の生きかたにすごく後悔した。こんなことになるんだったら、もっと他の人と、時間を大切にするんだったって。」
それはあたしも同じだった。
同じことを考えていた。
「そのときに、このチャンスがきたんだ。僕の生きかたを変えられるチャンスがって・・・。だから。」
シンジはあたしからはなれ、肩をつかんで言った。
「今度こそ、幸せになろう。」
あたしはゆっくりうなずいた。


部屋へ戻る  続く


コメント

掲載遅くて申し訳無いですT-T
4月になり、新入部員が入り、俺は最年長となって、最後の夏まで後三ヶ月
こんな状況によりちょい疲れが溜まってて、どうもPC付けても字を読む気にならず掲載が遅れてしまいました…
とまぁ、言い訳は置いといてっ
アスカにとっての一番の敵、アラエルが無事殲滅されましたね
そして、次はレイにとっての凶敵、アルミサエル
果たしてどう倒すのか?楽しみです^^

さて、ここまで読んだ人は、是非是非感想出してましょうb
感想は作者の執筆力の源ですv

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